なにかと話題の多かった春場所の熱戦が終わった。
終わってみれば優勝は横綱朝青龍であったが、こんなに熱のこもった対戦が連日続いたのは久しぶりなような気がする。
まず最初に大きな夢を手に入れたのは十両の把瑠都。じつに43年ぶり、北の富士以来となる十両全勝優勝を成し遂げた。これはそうそうできる記録ではない。幕内全勝優勝よりもむしろある意味難しいことだろう。そもそももとの素材が逸材に違いなく、盲腸炎で全休というアクシデントがなければ、今頃幕内のそれも上位にいたかもしれない力を持っている。格の違いを見せつけたといったところか。来場所はおそらく入幕が濃厚である。星勘定によってはいきなり上位との対戦もあるかもしれない。楽しみである。
結びの二番前はおそらく結び以上に世間の注目を集めたに違いない。初優勝を賭けた白鵬と大関の座を賭けた魁皇。場内は大歓声。立会いはどちらからともなく待ったが入る。お互いの相撲人生の大きな節目。見たことのないような鬼の形相の魁皇。初優勝と一門の先輩の大関陥落がかかっているというプレッシャーで緊張気味の白鵬。立った。魁皇、黄金の右をつかんだぁ。白鵬は土俵の外へ。割れんばかりの大歓声。来場所もまだ土俵に立てる。自分で掴み取った夢の舞台。「まだ終われない。」来場所も大声援を背に後輩たちの前に立ちふさがる。
結びは朝青龍-栃東。負ければ綱とりは一からやり直しとなる栃東。白鵬が敗れただけにすんなり優勝を決めたい横綱。が...。立会いから栃東ペース。横綱、相撲にならない。完全に相手に対して横を向いてしまった。最後は抵抗することすらできずあきらめたような形で土俵の外へ。これは意外な展開であった。いくら調子がよくないとはいえ、こういう内容の朝青龍を見たことがない。ともあれ、栃東の夢もつながった。つながったとはいっても来場所13勝以上での優勝が求められる。失敗すれば振り出しである。年齢からいってもそうチャンスは来ない。おそらくラストチャンス。栃東にとって正念場となる。
さて、予想外の展開から2敗同士での決定戦。がっぷり組んだ熱のこもった戦い。右四つ左上手。四つは白鵬有利と思われた。白鵬が横綱を押し切ろうとしたその瞬間、横綱の投げが炸裂。白鵬の初優勝は夢と消えた。決まった瞬間朝青龍の見せたなんとも感慨深げな表情がすべてを物語っている。横綱としての責任を果たせたこと、そして自ら待ち望んでいた後輩たちの成長。今場所決して調子はよくなかったが、横綱を奮い立たせたのが若手の成長である。「負けるもんか。」という気持ちが横綱をより強くしていく。
白鵬。優勝こそ逃したが、実力ではすでに横綱と互角であることを見せ付けた。来場所は大関。追われる側、守る側となる。夢の初優勝、そしてもうひとつ上への階段。夢はまだ半ばである。
モンゴル勢の関取9人が全員勝ち越しを決めた。三賞もモンゴル勢の独占。優勝争いもモンゴル勢の二人。まさにモンゴル場所といった感じであった。
琴欧州も怪我が全治しない中よくがんばった。休場の心配すらされたが見事に最後まで取りきって9勝をあげた。この頑張りもあって、ひさしぶりに関取衆は休場者なしで場所を終えた。途中でさらに捻挫をしてしまったようであるが来場所は元気に出場してくることを期待したい。
今場所はさまざまな話題があったうえ、最後まで優勝争いがもつれたこともあって観客の入りがよかったようである。久しぶりに9日間も満員御礼となった。もちろん足を運べずテレビ等で観戦された方もいつもより多かったと思われる。来場所も熱い戦いが繰り広げられることを期待したい。
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